ブリスケット(Brisket)に挑戦
アメリカに来てから始めて知りましたが、アメリカではブリスケット(Brisket)と呼ばれるBBQ料理がとても有名です。見た目もとても豪快な料理で、アメリカを感じられる料理の一つでしょう。
何度かお店で食べているのですが、自分でもできたらいいなと思い、せっかくグリルもあることですので、ブリスケットに初挑戦しました。
ブリスケットは牛肉の部位の一つになります。
この肉を、塊のまま数時間かけてグリルしていくのが、ブリスケットなります。
足のすぐに上にあることから想像されるように、割と硬めの肉で、またコラーゲンを豊富に含んでいます。
このコラーゲンにじっくりと火を通していき、ゼラチン化させていきます。
今回は10ポンド(約4.5キロ)の肉を使いました。近くのスーパーでセールをやっており、15ドル程で購入できました。安い!!!
普段は30ドルくらいですが、まあそれでも安いですよね。
周りは固い脂肪に覆われています。このお肉は、あまり柔らかくならないということで、取り除いていきます。
まとめると結構な量です。(0.5キロぐらいは軽くなったかも・・・)
そして次は、周りに調味料をまぶしていきます。
今回は、こちらの既製品のスパイスでシーズニングします。CAJUNは、アメリカ南部ルイジアナ州に入植した人々の呼称のようで、スパイスがよく効いたCajun料理というのも有名です。
表面が全部覆われるまで、これでもかというほど、お肉全体にまぶします。
その後は、味が染みわたるように1時間ほど寝かします。
そして、いよいよグリルです。
まずは、グリルを100℃程に熱します。温度が安定したところで、お肉をグリルに投入します。
ここまで結構長いですが、ここから更に長いです。
グリル内部の温度を100℃にキープしながら、お肉の内部温度が70℃になるまで、じっくりと寝かします。
また、一つ忘れてはいけないのが、スモークチップです。
このように、パレット上になったものが売られており、それを炭の上にばらまきます。適当な分量は分からないので、少ないよりはいいか多めがいいかということで、多めに投入します。着火すると同時に黙々と煙が上がってきます。チップも、色々種類がありますが、燻製製品で割とよく名前を聞く、ヒッコリー(北米原産のクルミ科の木だそうです)を今回は選択しました。
温度調整のために炭を追加し、時折、スモークチップも追加しながら待つこと約5時間、内部の温度がついに70℃に達します。
最終的には90℃まで上げていくのですが、ここで、一作業あります。
一度肉を取り出し、ブッチャーシートに包みます。(おそらく水分が飛びすぎないようにする為??正確なところは不明です。)
この辺の作業は人によってまちまちのようで、アルミに包むひともいれば、何もせずにそのまま90℃まで上げてしまうという人もいて、正解という正解は無いようです。
(正解が無いと言えば、肉の置き方もそうで、グリルに肉を置く向きですら意見が割れており、最初の肉の写真をみてもらうと分かるように、ブリスケットは片面が厚い脂肪に覆われているのですが、それを上向きにするべきという人もいれば、下向きがいい、或いは途中でひっくり返すなど、それぞれにこだわりをもってやっているようです。自分も拘りのスタイルがいつか確立できればと思います。)
御覧のように、ぐるぐる巻きにして、またグリルに戻します。
さて、ブッチャーシートを巻いてグリルに戻してさらに2時間が経過し、ようやく内部温度が90℃に達しました。
下処理の時間を含めると10時間近く経過しています。
はやく中身を見たいという衝動にかられながら、お肉を落ち着かせるため、グリルから取り出し、常温で1時間寝かします。
一つの料理にここまで時間をかけることはなかなかないことです。
これで失敗していたらとても悲しいですが、いよいよ対面の時を迎えます!
ドキドキしながらブッチャーシート取り外すと・・・・
真っ黒です!!
でも、燻製なのでこれはオッケーです。問題は中身がどのようになっているかです。
美味しいBBQのお店では、中はとてもジューシーに仕上がっており、私のはどうか・・・・緊張の中ナイフを入れます
成功です!(少なくとも見た目は)
10時間かけたかいがあったとうものです。
スモークリングと呼ばれる、表面付近のピンクのラインもしっかりと出ており、想像以上の出来です。
そして肝心の味ですが、うまい! 自分で作ったことを抜きにしても、これはうまい!
スモークの香りもしっかりとついており、また肉もほろほろと口のなかで崩れていきます。そのまま食べてよし、サンドイッチにして良し、万能選手です!
ブリスケット自体は、牛の他の部位と比べたときに、あまり良い部位とは認知されていないのでしょうが、時間をかけることでとても美味しく調理することができ、こういった手法を考えた人に敬意を表します。
一回に大量の肉を料理できるため、家族が集まる機会にブリスケットは料理されることが多いようです。日本ではこういった塊肉を入手すること自体が難しいですが、もし機会があれば、ぜひ試してみてください。作る苦労が多い分、作る人も、食べる家族もきっといい思い出になりそうです。